世界中の食卓に衝撃が走るニュースがありました。
手ごろな価格で栄養価も高い果物として
親しまれているバナナですが、
バナナの木を枯れさせる病気の感染が
世界中に広がっている模様です。
日本の最大の輸入元のフィリピンでは、
生産量が減少するなど影響も出始め、
対策を急がなければ、
将来、手軽に食べられなくなるおそれがある
と懸念する声が上がっています。
私はあまりバナナ好きではありませんが
今まで日常的にあったものが無くなってしまう
なんて嫌ですよね。
ただ、原因が原因なだけに、
食い止めるのは難しい模様です。
世界中で感染が広がっているのは、
カビの一種である病原体によってバナナの木が枯れてしまう
「新パナマ病」と呼ばれる病気で、
一度かかると治らないため、
バナナの「不治の病」とも言われています。
バナナの歴史は実は病気との闘いでした。
100年余り前に中米のパナマ周辺で確認され、
その後、世界中に感染が広がったバナナの病気は
「パナマ病」と名付けられ、
当時、流通していたバナナはほぼ絶滅しました。
現在、流通しているバナナは「パナマ病」にかかりにくい
品種として開発されたものですが、
さらに感染力の強い「新パナマ病」が新たに現れ、
世界中に広がっています。
FAO=国連食糧農業機関によりますと、
「新パナマ病」は1990年に台湾で見つかり、
その後、中国大陸や東南アジアに広がり、
現在は、中東やアフリカでも感染が確認されている
ということです。
このうち、日本が輸入するバナナの90%近くを占める
フィリピンの最大の産地、南部ミンダナオ島では、
ここ数年で「新パナマ病」の被害が急速に拡大しています。
現地の生産者団体によりますと、
島にあるバナナの木の5分の1がすでに感染し、
生産量もこの5年で20%以上も減り、
今年はさらに落ち込む見通しだということです。
こうした事態を受けて、フィリピン政府は、3年ほど前から
「新パナマ病」に強い品種の開発を進めていますが、
バナナの実が少なかったり、
成長するまでに時間がかかったりするため、
実用化のメドは立っていません。
生産者団体の幹部は
「新たな品種の開発などの対策が進まなければ、
5年か10年後には、
世界中の食卓からバナナが消えてしまうおそれもある」
と話しています。